親に感謝なんてできない!|「感謝しなさい」が苦しい本当の理由

「親に感謝しましょう」

心理学や自己啓発の世界では、こんな言葉を聞くことがあります。

現実を変えたいなら、まず親に感謝しましょう。
親を許しましょう。
生んでくれたことに感謝しましょう。

たしかに、それはひとつの真理だと思います。

親への恨みや怒りを握りしめたままだと、心のどこかでずっと過去に縛られてしまうことがあります。

「どうして愛してくれなかったの」
「どうしてわかってくれなかったの」
「どうしてあんなことをしたの」

その思いが心の奥に残っていると、恋愛でも、仕事でも、人間関係でも、どこかで同じような痛みを繰り返してしまうことがあるんです。

でも一方で、私は思うんです。

「親に感謝しなさい」という言葉は、捉え方を間違えると、とても苦しくなる、と。

今日もお越しくださりありがとうございます。
カウンセリングサービス・心理カウンセラーの青山リナです。

もうこれ以上ワタシ(自分)の幸せを先延ばしにしない!
ワタシを幸せにする心理学

今日も必要な方に届きますように。

目次

感謝できないのは、あなたの心が冷たいからではない

親に感謝できない。

そう感じる人もいます。

それは、決してその人の心が冷たいからではありません。

親に暴力をふるわれた。
強い言葉で否定され続けた。
気持ちを聞いてもらえなかった。
いつも親の機嫌を取っていた。
子どもなのに、親の面倒を見るような立場だった。

そんな経験がある人にとって、

「でも、育ててもらったんだから感謝しなさい」
「生んでくれたんだからありがたいと思いなさい」

と言うのは、とても苦しいことだとも思うのです。

それは感謝ではなく、傷ついた気持ちをなかったことにさせる圧力になってしまうかもしれません。

本当は悲しかった。
本当は怖かった。
本当は寂しかった。
本当はもっと大切にされたかった。

その気持ちを置き去りにしたまま、無理やり「ありがとう」と言わせても、心は癒えません。

むしろ、さらに深く傷ついてしまいます。

だから、まず大切なのは、

「感謝できない私が悪い」

と思わないことです。

感謝できないほど、あなたの心にはまだ痛みが残っている。

それだけのことなんです。

親を理解することは、親を許すことではない

ただ、ここで少しだけ大事な視点があります。

親に感謝するというのは、親がしたことを正当化することではありません。

暴力をふるった親を、正しいと言うことではありません。
傷つけた親を、仕方なかったで済ませることでもありません。
あなたの痛みを、なかったことにすることでもありません。

親を理解することと、親を許すことは、同じではないんです。

たとえば、暴力をふるう親がいたとします。

それはもちろん、してはいけないことです。
子どもを傷つけることは、決して正当化されるものではありません。

でも同時に、その親自身もまた、ひとりの不器用な人間だったのかもしれません。

感情の扱い方を、教わってこなかった。
自分の怒りを、止められなかった。
誰かを大切にする方法を、知らなかった。
親になる準備が、まだできていなかった。
自分のことで精一杯で、心に余裕がなかった。

だからといって、傷つけていい理由にはなりません。

けれど、

「あの人は、完璧な親ではなく、まだ大人になりきれていない、ひとりの人間だったんだ」

と見られるようになること。

ここには、とても大きな意味があります。

親を理解するというのは、親をかばうことではありません。

親を神様のようにあがめることでも、親を悪魔のように憎み続けることでもありません。

ただ、「不器用な、ひとりの人間だったんだな」と、等身大で見ること。それだけです。

親に怒っている間、心はまだ親と同じ場所にいる

子どもにとって、親はとても大きな存在です。

親に愛されないこと。
親にわかってもらえないこと。
親に傷つけられること。

それは、子どもの心にとって、とても大きな痛みです。

だから大人になっても、

「どうして私にあんなことをしたの」
「どうしてもっと大切にしてくれなかったの」
「どうして謝ってくれないの」

と思うのは自然なことです。

でも、その怒りをずっと握りしめていると、心の中ではまだ、親が人生の中心にいることがあります。

親に謝ってほしい。
親にわかってほしい。
親に変わってほしい。
親に認めてほしい。

この気持ちが強いとき、私たちはまだ心のどこかで、親に人生の鍵を預けているのかもしれません。

親が謝ってくれたら、私は楽になれる。
親が認めてくれたら、私は前に進める。
親が変わってくれたら、私は幸せになれる。

そう思っている間、私たちの心はまだ、親と同じフィールドで戦っています。

もちろん、怒ってはいけないわけではありません。

怒りは大事です。

「あれは嫌だった」
「あれは傷ついた」
「あれはしてほしくなかった」

そう感じることは、自分を取り戻すために必要なプロセスです。

でも、ずっとそこで戦い続けることが、自分を自由にしてくれるとは限らないんです。

親に感謝するのは、親のためではない

では、何のために親に感謝するのでしょうか。

親を喜ばせるためでしょうか。
親孝行するためでしょうか。
いい子になるためでしょうか。

私は、少し違うと思っています。

親に感謝するというのは、親のためではありません。

自分が自由になるためです。

「あの人たちは未熟だった」
「私はたくさん傷ついた」
「本当はもっと愛されたかった」
「でも、私はもう、その未熟さを自分の人生の中心には置かない」

そうやって、親の影響下から少しずつ抜け出していくこと。

それが、感謝に近づく道なのだと思います。

感謝とは、

「全部許します」
「何もかもありがとう」
「私が悪かったです」

ということではありません。

むしろ、最初はもっと静かなものです。

「それでも私は、生きてきたんだな」

この感覚かもしれません。

十分ではなかったかもしれない。
欲しかった愛はもらえなかったかもしれない。
守ってほしいときに守ってもらえなかったかもしれない。

それでも、今日まで生きてきた。

住む場所があった時期もあった。
食べるものがあった時期もあった。
誰かの手によって、命はここまでつながってきた。

それは、親が立派だったという意味ではありません。

ただ、

「何もなかったわけではなかった」

と見えるようになること。

ここに、心の成長があるのだと思います。

感謝は、無理にするものではなく、自然と湧いてくるもの

親に感謝できないときは、無理に感謝しなくていいんです。

無理やり感謝しようとすると、心はまた自分を裏切られたように感じます。

本当は傷ついているのに、
本当は怒っているのに、
本当は泣きたいのに、

「ありがとう」と言わされる。

それでは、心はますます苦しくなってしまいます。

だから、順番が大切です。

まずは、傷ついた自分の気持ちを認めること。

悲しかった。
怖かった。
寂しかった。
悔しかった。
わかってほしかった。

その気持ちをちゃんと自分が聞いてあげること。

そして少しずつ、

「親もまた、自分のことで精一杯の、ひとりの人間だったのかもしれない」

と見られるようになっていく。

その先に、ようやく感謝があるのだと思います。

感謝は、努力してひねり出すものではありません。

親の不器用さに気づき、
自分の痛みを抱きしめ、
それでも自分の人生を取り戻そうとしたときに、
ほんの少しだけ自然に湧いてくるものです。

親を超えるとは、親を責めなくなることではない

親を超えるというのは、親を見下すことではありません。

「私は親より立派になった」
「私は親より正しい」

と思うことでもありません。

親を超えるとは、

「あなたの未熟さを、もう私の人生の中心には置きません」

と決めることです。

親は親。
私は私。

あなたは未熟だった。
私は傷ついた。
それは事実。

でも、私はこれから、自分の人生を自分で選んでいく。

ここに立てたとき、人は少しずつ親を超えていきます。

親に勝つ必要がなくなる。
親にわからせる必要がなくなる。
親に謝らせることだけに固執しなくなる。

それは、親を許したからではなく、

自分の人生を、親から取り戻したからです。

親に感謝できないあなたへ

今、親に感謝できない人もいると思います。

それでいいんです。

無理に感謝しなくていい。
無理に許さなくていい。
無理にいい子にならなくていい。

ただ、少しだけ自分に問いかけてみてください。

私はまだ、親にわかってもらうことを待っていないだろうか。
親が変わることを、人生が変わる条件にしていないだろうか。
親への怒りを握りしめることで、私自身の未来を止めていないだろうか。

親に感謝することは、親のためではありません。

あなたが、あなたの人生に戻ってくるためです。

親の未熟さを見たうえで、
自分の痛みもなかったことにせず、
それでも私は、私の人生を生きていく。

そう思えたとき、感謝はきっと、無理やりではなく、静かに心の中に生まれてくるのだと思います。

まだ「ありがとう」と言えなくてもいい。

まずは、

「私は、ここまでよく生きてきた」

そこからでいいんです。

ひとりで抱えなくてもいい

親のことって、人生でいちばん根が深い場所にあることが多いです。

だから、頭では「もう過去のこと」とわかっていても、心の奥ではまだ、子どもの頃のあなたが立ち尽くしていることがあります。

それは、何年経っても、ひとりで整理しきれるものではありません。

私自身も、ここはずいぶん時間をかけてきた場所です。

だからこそ思うんです。

傷ついた気持ちを誰かに聞いてもらいながら、少しずつ「あの人は不器用なひとりの人間だった」と見られるようになっていく。その過程は、誰かと一緒のほうが、ずっと進みやすいんです。

カウンセリングは、あなたを責める場所でも、無理に親を許させる場所でもありません。

「本当は悲しかった」「本当はもっと大切にされたかった」

その気持ちを、まずそのまま感じられる場所です。

そこから、あなたが自分の人生を自分の手に取り戻していく。そのお手伝いができればと思っています。

まだ「ありがとう」が言えなくても、大丈夫。

あなたのペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。

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