
近くにイライラしている人がいると、なんだか落ち着かない。
ため息をついていたり、物を乱暴に置いたり、声のトーンが強かったり。
その人が自分に怒っているわけではないとわかっていても、空気が重く感じられて、こちらまで気分が悪くなってくる。
そして気づけば、自分までイライラしている。
イヤになっちゃいますよね。
どうしてこんな風に、イライラしている人を見ると、自分までイライラしてしまうのでしょう。

今日もお越しくださりありがとうございます。
カウンセリングサービス・心理カウンセラーの青山リナです。
もうこれ以上ワタシ(自分)の幸せを先延ばしにしない!
ワタシを幸せにする心理学
今日も必要な方に届きますように。
相手の感情は、言葉がなくても伝わってくる
人の感情は、言葉だけで伝わるものではありません。
表情、声の大きさ、話す速さ、呼吸、視線、身体の動き。
私たちは、相手が発しているさまざまなサインを、無意識のうちに受け取っています。
たとえば、近くにいる人が険しい顔をしていたり、荒々しく動いていたりすると、こちらの身体も自然と緊張します。
肩に力が入る。
呼吸が浅くなる。
胸のあたりがざわざわする。
何か悪いことが起きるのではないかと、無意識に身構える。
頭では「私には関係ない」と思っていても、身体は相手の緊張に反応しているのです。
このように、相手の感情に影響され、自分の中にも似た感情が生まれることを、感情の伝染や共鳴として捉えることができます。
だから、イライラしている人のそばにいると、自分まで落ち着かなくなったり、イライラしたりするのは、ある意味では自然なことなのです。
本当は「イライラ」ではなく、緊張しているのかもしれない
ただ、相手がイライラしているとき、こちらに最初から怒りが生まれているとは限りません。
本当は先に、
「怖い」
「落ち着かない」
「何か言われそう」
「私が悪いのかな」
「早く機嫌を直してほしい」
という不安や緊張が生まれていることがあります。
けれど、不安や怖さを感じ続けるのは苦しいものです。
そのため、心は自分を守るように、
「なんでそんな態度をするの?」
「こっちまで嫌な気分にさせないで」
「不機嫌をまき散らさないでよ」
と、怒りを感じ始めることがあります。
つまり、自分のイライラは、相手の怒りにそのまま共鳴したものではなく、相手の不機嫌によって脅かされた自分を守るために生まれている場合もあるのです。
怒りって、実は自分の心を守るための感情でもあるんですよね。
相手の不機嫌に「気を遣わされる」ことが腹立たしい
イライラしている人を見ると気分が悪くなるのは、相手の態度そのものに腹が立っていることもあります。
「不機嫌なら、自分で処理してほしい」
「周りに気を遣わせないでほしい」
「どうして私が空気を読まなければいけないの?」
そんな怒り。
相手が不機嫌になると、こちらは無意識にその人を気にし始めます。
話しかけても大丈夫だろうか。
何かまずいことをしただろうか。
機嫌を直すために何かした方がいいのだろうか。
このように、相手が自分の感情を周囲に放っていると、周りの人はその感情の後始末をさせられているような気持ちになります。
だから、
「あなたの機嫌を、どうして私が気にしなければいけないの」
という怒りが出てくるのです。
これは、相手の怒りに共鳴しているというよりも、相手の不機嫌によって自分の安心を乱されたことへの怒りだと言えるでしょう。
子どもの頃、家族の機嫌を読んでいた人は反応しやすい
イライラしている人に強く反応する人の中には、子どもの頃から家族の機嫌を敏感に察知してきた人もいます。
お父さんが不機嫌になると、家の中が静まり返った。
お母さんが怒っていると、自分が何とかしなければいけない気がした。
家族が不機嫌になると、自分が責められるかもしれなかった。
そんな環境にいると、子どもは大人の表情や声の変化に敏感になります。
「今日は機嫌がいいかな」
「怒っていないかな」
「何か悪いことをしたかな」
そうやって周囲を見張ることが、自分を守るために必要だったのです。
大人になってからも、その反応は身体に残っていることがあります。
目の前の人が少しイライラしているだけでも、過去の緊張が呼び起こされる。
今は何もされていないのに、身体が「危険かもしれない」と反応する。
すると、自分でも理由がわからないほど、強い不快感や怒りが湧いてくることがあります。
それは、今の相手だけに反応しているのではなく、過去に感じた怖さや緊張まで刺激されているのかもしれません。
自分が我慢している怒りを、相手が表していることもある
もうひとつ考えられるのは、自分の中に抑えている怒りがある場合です。
普段から、
「怒ってはいけない」
「機嫌よくいなければいけない」
「周りに迷惑をかけてはいけない」
と思っている人ほど、自分の怒りを抑えやすくなります。
本当は嫌だった。
本当は腹が立っていた。
本当は我慢したくなかった。
それでも、怒りを表に出さず、飲み込んできた。
そんなとき、目の前の人が堂々とイライラしていると、
「私はこんなに我慢しているのに」
「どうしてこの人は、不機嫌をそのまま出しているの?」
という怒りが出てくることがあります。
相手の態度を通して、自分が抑えてきた怒りを見せつけられているように感じるのです。
だから、相手にイライラするときは、自分の中にも、
「本当は私だって怒りたい」
「私だって我慢したくない」
という気持ちがないか、少し見てみてもいいかもしれません。
これは、相手の態度を許さなければいけないという話ではありません。
ただ、なぜ自分がここまで強く反応しているのかを知る手がかりにはなります。
「相手が怒っている」と「私は怒っている」を分けてみる
相手のイライラに巻き込まれているとき、私たちの中では、相手の感情と自分の感情が混ざっています。
相手が怒っている。
だから、自分も落ち着かない。
その落ち着かなさに腹が立つ。
さらに相手が嫌になる。
このように、感情が連鎖していきます。
そんなときは、まず心の中で分けてみることが大切です。
「この人は今、イライラしている」
「私は今、それを見て緊張している」
「私は、空気を悪くされたことに腹が立っている」
「私は、機嫌を取らされるようで嫌だと感じている」
感情を細かく言葉にすると、自分と相手の境界線が少し戻ってきます。
ただ「こっちまでイライラする」と思っているときは、相手の感情に飲み込まれています。
けれど、
「私は何に反応しているのだろう」
と見ていくと、自分の感情を自分のものとして扱えるようになります。
相手の不機嫌を、自分が引き受けなくてもいい
相手がイライラしていると、優しい人ほど、その人を落ち着かせようとします。
話を聞いた方がいいだろうか。
何か声をかけた方がいいだろうか。
自分が悪かったのなら謝った方がいいだろうか。
けれど、相手の感情は、基本的には相手のものです。
こちらに明確な非があるなら話し合う必要はありますが、相手がただ疲れている、不満を抱えている、機嫌が悪いというだけなら、それを解決する責任まで自分が背負う必要はありません。
心の中で、
「この人の不機嫌は、この人のもの」
「私はこの人の感情を処理しなくていい」
「私は私の落ち着きを守っていい」
と確認してみてください。
その場を少し離れる。
呼吸を整える。
別の作業に意識を向ける。
必要以上に相手の表情を読まない。
これも、自分を守るための大切な行動です。
イライラする自分を責めなくてもいい
相手の不機嫌に反応してしまうと、
「私も性格が悪いのかな」
「もっと気にしないようにしなければ」
「大人なのだから、受け流さなければ」
と思うかもしれません。
けれど、自分までイライラするのには、何かしらの理由があります。
相手の緊張を受け取っているのかもしれない。
怖さから自分を守ろうとしているのかもしれない。
気を遣わされることに腹を立てているのかもしれない。
過去の記憶が反応しているのかもしれない。
自分がずっと我慢してきた怒りが刺激されているのかもしれない。
大切なのは、イライラをなくそうとすることよりも、
「私は今、何を感じているのだろう」
「私は何から自分を守ろうとしているのだろう」
と、自分の心に興味を持ってあげることです。
相手の感情に巻き込まれたときこそ、自分の心に戻ってきてください。
相手がイライラしていても、自分まで同じ感情の中に入り続けなくていいんです。
相手の不機嫌を理解することと、引き受けることは違います。
相手には相手の感情があり、あなたにはあなたの感情があります。
その境界線を思い出せると、少しずつ、自分の落ち着きを取り戻せるようになるのではないでしょうか。
あなたの毎日に少しでもお役に立てると幸いです。
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