「そろそろ実家を出ようかな」と思いながら、もう何年も経っている。
タイミングが合えば。
お金が貯まったら。
仕事が落ち着いたら。
そう言いながら、気づけば今年もまた同じ場所にいる。
出たい気持ちはちゃんとある。
でも、いざ部屋を探そうとすると、なぜか後回しになる。
頭で「もうそろそろ実家を出よう」と考えているときと、実際に動こうとして足がすくむときって、まったく別のものなんですよね。考えているうちは怖くない。でも、内見の予約を取ろうとした瞬間、急に「やっぱり今じゃないかも」が湧いてくる。
今日は、その「出たいのに、なぜか動けない」の奥で何が起きているのか、一緒に見ていきます。

今日もお越しくださりありがとうございます。
カウンセリングサービス・心理カウンセラーの青山リナです。
もうこれ以上ワタシ(自分)の幸せを先延ばしにしない!
ワタシを幸せにする心理学
今日も必要な方に届きますように。


「出たい」のに動けない、そんな自分を責めなくていい
まず最初に言っておきたいのは、動けないこと自体は、おかしなことでも、情けないことでもないということ。
「いい歳して実家にいる」
「自立できていない」
そんなふうに自分を採点して、こっそり落ち込んでいる人は多いです。でも、動けないのには動けないだけの理由が、ちゃんと心の中にあります。
ワタシだって、本当は出たい。なのに動けない。
その矛盾を抱えたまま、毎日をやり過ごしている。
そういう状態って、思っている以上にしんどいものです。
だからまずは、動けない自分を責める想いを、いったん下ろしてみてください。責めても動けるようにはならないのですよ、私たちって。それより、「なんで動けないんだろう」を一緒に見ていったほうが、ずっと楽に進めるものです。
実家を出たくない理由、表に出てくる4つ
「出られない」と感じるとき、たいてい人は理由を持っています。しかも、どれも筋が通っていて、もっともらしい。代表的なものを4つ挙げてみます。
① お金の不安
いちばん多いのがこれ。家賃、光熱費、食費、家具家電をそろえるお金。
実家にいれば、そのほとんどがかからない。手元に残るお金を考えると、出ていく経済合理性がどこにもないように見えてきます。
「貯金がもう少し貯まってから」
「給料が上がったら」
この理由は強力です。なにせ、誰に言っても「それはそうだよね」と納得してもらえます。反論なんてほとんどの場合されません。
でも、よく思い出してみてほしいんです。
じゃあ、いくら貯まったら出るのか。
その金額、決まっていますか。
たいていの場合、ゴールが設定されていません。ゴールがないということは、いつまで経っても「まだ足りない」が続くということでもあります。
② 安心・安全への不安
一人で暮らすって、考え出すと不安なことだらけです。具合が悪くなったら誰が助けてくれるのか。物騒な世の中で、一人の部屋は安全なのか。家事も全部自分。仕事から疲れて帰って、それでもご飯を作って洗濯して……それを毎日続けられるのか。
実家にいれば、誰かが家にいる安心感がある。ご飯が出てくることもある。何かあっても、すぐ近くに人がいる。この「守られている感じ」を手放すのは、想像以上に怖いものです。
これも、とてもまっとうな心配です。実際、一人暮らしには手間もリスクもありますよね。だからこそ、この理由も「正しすぎて」、なかなか乗り越えられないんですよね。
③ 社会の中で、一人でやっていく不安
これは少し抽象的な不安です。実家を出るって、ただ住む場所が変わるだけじゃなくて、「社会の中に、自分の足で立つ」感覚を伴います。
家賃の契約をして、近所づきあいをして、トラブルがあれば自分で対処する。今まで親が窓口になってくれていたことを、これからは全部、自分の名前でやっていく。その「自分が矢面に立つ」感じに、そわそわする人は多いです。
「ちゃんと社会人としてやれるんだろうか」。この不安は、お金や安全の心配と違って、解決策がはっきりしません。だから、ぼんやりとした重さとして、ずっと胸に残り続けます。
④ 親を置いていく罪悪感
そして、意外と本人が気づきにくいのがこれ。「親が心配で出られない」という気持ちです。
親が歳をとってきた。一人にして大丈夫だろうか。寂しがるんじゃないか。自分がいなくなったら、この家はどうなるんだろう。そう考えると、出ていくことが、まるで親を見捨てるような、薄情なことに思えてくる。
これは先に挙げた①〜③の「自分の不安」とは、少し違うように感じますよね。お金や安全は自分の心配だけど、これは「親との関係」の話。親のことを思えば思うほど、離れることに罪悪感を感じてしまうんです。親を置いて自分だけ幸せになっていいのか、という感覚です。
そしてこの罪悪感は、とても正当な顔をして出てきます。だって、こんな自分って間違いなく「親思いのいい子」じゃないですか。だから本人も、まさかこれが自分を足止めしているなんて、思いもしないことが多いんです。
理由がわかっても、たぶん動けない
さて、ここまで4つ挙げてきました。お金、安全、社会、親。どれかに「ああ、これだ」と思い当たったかもしれません。
でもね。
仮に、この4つが全部クリアされたとしましょう。お金が十分貯まった。一人暮らしの段取りもわかった。親も「気にせず出ていきなさい」と笑って送り出してくれる。条件はぜんぶ整った。
――その人は、実家を出ていくでしょうか。
実は、出ていかないことが多いんです。条件が揃うと、今度は別の理由が出てくる。「でも今は仕事が忙しいし」「もう少し落ち着いてから」。理由が一つ消えると、すかさず次の理由が補充される。
つまり、4つの理由は「出られない原因」のように見えて、本当はそうじゃなかったりするんです。表面の理由をいくら正確に分析して、一つずつ潰していっても、それは「なぜ動けないのか」の答えにはたどりつかないんです。
なぜなら、本当の理由は、もっと奥にあるから。そして厄介なことに、その奥にあるものは、自分ではなかなか見えないんです。
奥にあるのは、「大人になること」への怖さ
実家を出たいけどなかなか出られない。
その人が本当に怖がっているもの。それはたぶん、「大人になること」そのものです。
実家を出るって、突き詰めると「自分の人生の決定権を、自分で握る」ということなんですよね。今まで、大きなことは親が決めてくれた。あるいは、何かあれば親が引き受けてくれた。これからは、何を選ぶかも、その結果を背負うのも、全部、自分。
それが、怖い。
そしてもう一つ。「条件さえ整えば、いつでも出られる」と思っている間って、実はすごく心地いい状態なんです。だってその間は、「ワタシはやればできる。まだやっていないだけ」でいられるから。
子どもの頃、「大きくなったら何でもできる」と思っていた、あの感覚に似ています。可能性が無限にある状態。でも、その可能性は、実際に動き出した瞬間に、「やってみたら、これだった」という一つの現実に変わります。
動かなければ、可能性は無限のまま温存できる。動いた瞬間に、「ワタシは一人でやっていけるのか」の答え合わせが始まってしまう。そして、もしうまくいかなかったら――その結果は、まるごと自分に返ってくる。自分の力量に、はっきりとジャッジが下る、そんな感覚がするんです。
それが、本当に怖いものの正体なんだと思います。
でも多くの場合、本人にはこの怖さの自覚がほとんどないんですよね。自覚しているのは「お金が」「タイミングが」という現実的な理由のほうで、その奥で何を避けているかは、すっぽり隠れてしまっているので、見えないんですよ。むしろ「ちゃんと準備している、慎重な自分」だと思っていることすらあります。
怖さが、まっとうな理由に化けている。だから本人にとっては、それは怖さですらないんです。
動けない自分を責める前に、奥を覗いてみる
ここまで読んで、「実家を出る出ないの話なのに、なんだか自分のことを言われている気がする」と感じた人がいるかもしれません。
それもそのはずで、これは実家暮らしの人だけの話じゃないんです。
家はとっくに出ているのに、
転職に踏み切れない。
結婚を決められない。
やりたいことがあるのに動けない。
「条件が整ったら」と言い続けて、ずっと同じ場所にいる。
全部、似た仕組みで、元にある怖れは似ていたりします。可能性を温存したまま、大人になることを先延ばしにしている。
ここで大事なのは、表面の理由がわかっただけでは、何も変わらないということです。「ああ、本当は大人になるのが怖いんだ」と頭で理解しても、その怖さがどこから来ているのか、どんな感情とくっついているのかは、自分一人ではなかなか見えてきません。
見えないものは、自分の力ではどうにもできない。だから、いくら一人で考えても、なかなか動き出せるような現実にはなりにくいんです。
それでも、今の場所にいることが心地いいなら、無理に動く必要はありません。
先延ばしにしている自分を、責めることもありません。
ただ、もし「今のままじゃ嫌だ」「本気でこの場所から動きたい」と思っているなら。一度、その奥にあるものを、ちゃんと見にいってみる価値はあると思うんです。
本気で変えたいと思ったら
自分の奥にある怖さって、自分一人で覗き込もうとしても、たいてい途中で見失います。怖いものほど、心はうまく隠してしまうから。
カウンセリングは、その「自分では見えない奥」を、一緒に覗きにいく時間です。
なぜ動けないのか。
何を怖がっているのか。
その怖さは、いつ、どこで生まれたものなのか。
一人だと堂々巡りになるところを、伴走者がいることで、少しずつ解いていくことができるんです。
実家を出る問題は、私自身もあったんですよね。
出る必要性を感じていなかった時期。
でも同時に、すごく窮屈な感覚がまとわりついていたんです。
いろんな「出る必要のない理由」がありました。
だからこそ、わかるんです。似た葛藤をしている気持ちが。
「出たいのに動けない」自分を、これ以上ひとりで持て余さなくても大丈夫です。
本気で今の現状を変えたいと思ったら、一度、あなたの心の奥にあるものと、一緒に向き合ってみませんか。
その一歩が、ずっと先延ばしにしてきた「ワタシの幸せ」を、今ここから始める入り口になるかもしれませんよ。
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