「ありがとう」の上手な伝え方 -1-

いつもありがとうございます。
カウンセリングサービスの青山リナです。

「ありがとう」を上手に伝えられていますか？

これは、A子さんとB助くんカップルのお話し。
（A子さんもB助くんも、架空の存在です。）

ある日、A子さんがB助くんの家にあそびに行った帰り、「クルマまで送るよ」と、B助くんがA子さんのクルマまで一緒に歩いてきてくれました。

ちょっと離れたところにクルマを停めていたので、嬉しいな、と思ったA子さんは、

「ありがとう。B助くんって優しいね。」と伝えました。

「そのくらい当然だよ。」とB助くんは答えました。

そっか、B助くんは、そのくらい当然だ、と普通に思う人なのね。この人は 優しい男らしい人なのね～。

A子さんはそんな風に思って嬉しくなっていました。
だって、自分の彼が優しくて男らしい人なんて、ステキだな～、ってＡ子さんは思ったのです。

別の日、また同じように、帰りにB助くんがA子さんをクルマのところまで送ってくれたので、 A子さんはB助くんに言いました。

「B助くん、いつもありがとう。B助くんって、ホント優しいよね。」
そしたらB助くんはこんなことを言ってきました。
「クルマまで送るのくらい当たり前だよ、そんなに俺はクズじゃないぞ！」

A子さんは一瞬、「え？？？」となりました。

普通にお礼を伝えているだけなのに、「クズ」って…何か私、悪いこと言ったかしら？
そもそも「クズ」って、どっから出てきたの？？？

A子さんには訳がわかりません。

そしてA子さんだんだんこんな風にも思えてきてしまいました。

ワーなんだか大変…
私、B助くんのことクズだなんて言ってないよ。

私がありがとうって伝えてるのに、B助くんはなんでそんな風に言うんだろう…
なんか怒ってるの？
これ以上変なこと言って機嫌悪くなられても嫌だし、喧嘩になるのも嫌だし…
意味わからない…なんなんだろう…
モヤモヤするけど…なんだか悲しくなってきた…もういいや…

原因はどこにあるのかわからないけれど、
明らかに、A子さんの伝えているはずの「ありがとう」と
B助くんに伝わっている「ありがとう」は
別物になっているようです。

どうやらB助くんには A子さんの「ありがとう」が

「へぇー、あなたって、玄関先で彼女にバイバイせずクルマまで送り届ける良心は一応持ち合わせている人なのねー、とりあえずありがとうって言っておくわ」

のように変換されて聞こえているようです。

B助くんの中で、そもそもなぜ、「クズ」って言葉が出てきたのでしょう？

もしかしたら、今までのB助くんの人生の中で、B助くんが善意でやったことなのに、相手にはそれを良い物と受け取ってもらえなかった経験があったのかもしれません。

もしそうだったとしたら、喜んで欲しいのに喜ばれない、B助くんはちょっと悲しい気持ちになりますよね。

B助くんが良かれと思ってしたことで、相手は喜ばない、それどころか、逆に何故か責められる、悲しまれる…そんな経験がB助くんにあったとしたならば、B助くんが優しくて責任感のある人であればあるほど自分を責めます。

俺がちゃんとできなかったから。

俺が上手くやれなかったから。

俺がダメだから。

そしてB助くんが自分を責めれば責めるほど、A子さんの好意は受け取れないものです。

自分（B助くん）が自分を責めていると、相手（A子さん）も自分を責めてくる、と思ってしまうのです。

これは投影の法則ですね。

（投影とは、例えば同じ夕日を見ても、ハッピーな気持ちで見る夕日は美しい夕日に感じるし、悲しい気持ちで見る夕日は、「夕日のバカやろー！」に感じる、というように、自分の心の状態ひとつで同じものを見ても違う感情を抱く、というものです。）

そうなると、なぜか言葉が勝手にB助くんの中の脳内翻訳機にかけられて違うものになりB助くんに届いてしまうんですよね。

だから、A子さんの言った「ありがとう」は

B助くんの脳内翻訳機で翻訳されて

「へぇー、あなたって、玄関先で彼女にバイバイせずクルマまで送り届ける良心は一応持ち合わせている人なのねー、とりあえずありがとうって言っておくわ」
となったわけです。

そんなこと、意識しては誰もしないので、B助くんもそんな自覚は無いし、A子さんも気づかないわけですよ。

そしてA子さんは
「クズとかクズじゃないとかいう問題じゃないんだけど…」と言いかけました。

to be continued…