今日も読んでくださってありがとうございます。
カウンセリングサービスの青山リナです。
2/3(土)の節分の日に、母校、神戸メンタルサービスで、恋愛心理学講座を担当させていただきました。ご参加いただきました方々、そして、見逃し配信でご覧いただいている方々、ありがとうございました。
講座内で、最後にQ&Aという形でご質問をいただき、ブログで掲載しても良いですよ、とご本人に許可いただいたご質問を順にお返事させていただきたいと思います。
読んでくださっている皆さまの中にも同じように感じていらっしゃる方もいるのではないかと思いますので、参考になれば幸いです。
「約束を破ってばかりの人はどんな心理ですか。直してもらうにはどうすればよいですか。」
約束をするんだけれども、守られない。
そんな時って、悲しくもなるし、裏切られた気分にもなるし、相手に対する疑いも生まれれば、自分ってそんな価値しかないのか、なんて感じてしまったりもしますよね。
私も昔、全く同じような質問をしたような気がするな…という記憶がよみがえってきました。
約束を破るのを直してほしい!約束を破る相手が悪い!そう、感じますよね。
しかし、パートナーシップは50/50だとするならば…
そんなことも踏まえて、ちょっと今回は、昔の自分に伝えるような気で、お伝えしていきたいと思います。
1.補償行為としての約束してしまう心理
まず最初に、ご質問にあった、約束を破ってばかりの人の心理はどうなっているのでしょう?
例えば恋人同士で、彼の方から、今度キミの観たがっていた映画にでも行こうか!そんな風に誘われて、でも一向に映画に行く気配はない。そのうち上映期間が終わってしまう。
また次には、今度キミにアクセサリーをプレゼントするよ!って言ってきて、アクセサリープレゼントしてくれるんじゃなかったっけ?なんて聞いてみたら、また今度ね。って。
約束を守らない人の心理的理由その1は、その場の思いつき、ノリで軽い気持ちでしてしまう約束、というものもあるかもしれません。
そしてもうひとつ別の理由は、約束をした時は本気だった。それは、その約束をしなければ、この関係性が終わってしまうのではないか、と怖れの気持ちが働いた時。
いわゆる、補償行為、としての約束。
ちょっとご自身のこととして考えてみてくださいね。
例えば昔、怒られたくないから、という理由で、何か約束をしてしまう、なんてこと、したことはありませんか?
子どもの時、やりたくもない宿題をやらないと、お母さんに怒られるから、仕方なくやる。翌日先生に怒られるから仕方なくやる。
この宿題が自分にとってプラスになる!とか、宿題(勉強)をするのが楽しい!という状態ならば、イヤイヤ宿題をする必要は無いけれど、怒られる、が前提だと、宿題をすることが苦痛で仕方がない、という状態ができたりします。
それでも宿題をこなすって、素晴らしいことですよね。
そうやって頑張った結果、今、たくさんの知識が手に入っていたり、何かを続ける習慣ができていたり、いろいろなプラスに働いたことってあるのだと思うのです。
「補償行為」とは、怖れ・罪悪感・無価値感、これらが原動力になり行動する、埋め合わせの行為です。
約束をする、ということが、もし、補償行為、になっているのだとすると、約束をすることで何とか関係性を繋ぎとめることはできたけれど、その約束の内容にまで行動に移すエネルギーが無い状態なんですよね。
だから、約束を破ってしまうことにより、相手をどれほど傷つけるのか、がっかりさせるのか、そこまでは考えられない、思いやる余裕がない、という状態になっている可能性が高いのです。
約束を破ってばかりの人にとっては、まずは約束をすることで、相手にしてほしい人に相手にしてもらえるようになる。
約束をしなければ、こんなダメな自分は、キミみたいに素敵な人に相手にされるなんてありえないことなんだ。と無意識で位置付けてしまっているのかもしれません。
だから、約束をすることで、素敵なキミと同レベルに自分をなんとか釣り合わせることができるけれど、その約束を実行するべき時に気付くんですよね、こんなことできるような人間じゃなかった自分は、って。
そうすると、約束が破られる、という結果が起きます。
約束を破ってばかりなのだとすると、そうして約束を破ることで、やはり罪悪感が出てきますから、結局また自分の立ち位置というのが以前よりも低くなる、と感じるのですよね。そうなると、本人の中では、自分という存在が、もっとダメな自分、となっていきます。そんな悪い自分が、人に相手にされるわけない、好かれるわけない、と思うと、もうやけっぱち状態で、相手が自分を見捨てるまで、自分の悪い姿を、これでもか、これでもか、という形で見せてくるかもしれません。
2.約束に期待する気持ち
約束をして、破られる。それって本当に悲しいですよね。
何度もそれが繰り返されるとなると、この人と関わるのは難しいかもしれない、と距離を置く、なんてことが出てきても全然おかしくないと思うんです。
むしろ、それを選択できるのが、約束を破られ続ける側にとっては一番良いのかもしれません。
しかし、恋愛が絡んでくると、なかなかそれが難しいと感じることがあります。約束を破られるのは、嬉しくも無いし、辛いだけだけれど、それでも彼が好き、という気持ちが消えてくれない時、きっとそんな時が一番苦しかったりするんですよね。
そうだとしたら…相手に期待してしまう気持ち、その期待の上に乗っかっているものは何だろう?ここを見ていく必要があるかもしれませんね。
約束を破られた側としては、自分が軽く扱われている、とか、約束を守られない雑な扱いをされている、と感じてしまったりします。
当然ですよね。怒りが出てきたって何も不思議ではない状況です。
でもね、どうして、そこまで約束を破る人と一緒にいるのでしょう?
1度や2度、約束を守れなかった、例えば待ち合わせ時間に数分遅刻してしまった、とか、約束したのをすっかり忘れてしまった、とか、そういうことって人間誰でもあると思うんです。たまたま、っていう状況を許してあげる、水に流す、ということができるって、人として心の広いあたたかい人ですよね。
でも明らかに、約束を破ってばかりの相手、すでにその時点でコミュニケーションをとることがとても難しいと感じている相手ですよね。関係性を結ぶには、とても信頼しづらい相手ではないでしょうか?
なぜその人なのでしょう?
こんなことを言っている私も、実は同じことを長年していたことがあったのです。だから、このご質問者さんの苦しいお気持ちは、なんだか自分の過去を見ているようで、心がギュッと締め付けられる気分になります。
ご質問者さんは、相手の方がご質問者さんと何かを約束してくれる時、何を感じているのでしょう?
そこには、相手に対する「期待」が乗っかっていませんか?
私だったら、期待、しちゃうな、って思うんですね。
次は約束守ってくれるよね、っていう期待。
私との約束は、守ってくれるよね、っていう期待。
私も、散々期待してきました。でも残念ながら、期待、をしているうちは、裏切られる、ということが多くあります。
期待と信頼って、別物なのです。
期待、というのは、自分が相手に対して、望みや願いを乗せることなんですね。
それは極端な言い方をすると、自分ができないことを相手にしてもらう、という状態。
例えば、子どもの頃、ちょっとテストの成績が良かったりすると、「次は100点だな!期待してるぞ!」なんて言われたりしたことありませんか?
これは、自分の願いというよりは、相手の願いなんですよね。
そして、願った本人がするのではなく、誰かにしてもらう、願った本人はただ待ち望む、という状態になるのですね。
そうなると、子どもが本心で100点取りたい、取ってみたい!と思えば頑張るでしょうし、努力するんですよ。その努力は決して嫌なものではないんですね。自分で100点取りたい、取ってみたい、って思ったわけだから、自分の夢を叶えるために勉強するんです。そうすると、楽しみを見出しやすくなってくるんです。
でも、望んだ親のために必死で100点を取ろうとすると、自分ではやりたくもないことをしなければならない、という状態ができます。いわゆる犠牲心ですよね。
そこに、失敗してはいけない、という失敗を怖れる気持ちも上乗せされるかもしれません。失敗したら親の望みを叶えてあげられない、と思いますからね。
「次は100点だな!期待してるぞ!」なんて言った親の方は、100点取ったら本人も自信がつくだろう、という想いもあるでしょう。けれど、本人がやりたくもないことを必死になってやっている、犠牲して自分をすり減らしている、ということまでは気付いていないわけですよね。もし気付いたとしたら、親としてはどう思うでしょうね。喜べるでしょうか?あんなこと言わなきゃ良かった、と自分を責めるのではないでしょうか。
親が望んでいることって、自分のために子どもを疲弊させることではなく、子どもがこの先自信を持って生きていけるきっかけになればいいな、とか、勉強したことが身になって、いつか子ども本人の役に立つことがあるだろう、子どもが少しでも苦労しない人生を歩めれば、と思っていることが殆どだと思うのです。
親が、子どもを信頼できているとするならば、こんな風に思っているのではないでしょうか。
100点取ると自信になるかもしれないね。でも、100点取らなくたって、子どもの持っている価値は変わらない。自分のかわいい子どもであることには変わらないし、その子なりに頑張っている、そんな子が自分のペースでしっかり成長しているのがわかる。苦労して欲しいとは思わないけれど、どこかで何か苦労する状況になったとしても、きっとこの子なら大丈夫だろう。
そんな風にして、親は子どもを信頼して見守ることができるんですよね。それは、言葉を変えると、その親が自分自身を信頼できている時、子どもをも信じて見守ることができる状態にあるのです。
逆に、その信頼ができない親がいるとすれば、それは親自身が、自信を持てずにいて、親自身がそんな自分に対してダメ出しをずっとし続けていて、そんな自分自身を自分の子どもに投影してしまうとなると、なかなか子どもを信頼することが難しくなってしまいます。
期待がある時って、自分では自分自身も、相手をも、信頼できないから、信じられる状態をあなたが作ってよ!という状態になっている時なのです。
あんなに約束を破っていた人が、私だけ約束を守ってくれるようになった。
あんなに自分勝手だった人が、私の言うことは聞いてくれるようになった。
だから私はやっぱり特別な存在なんだ。
そんな感じで、自分は特別だ、と思える状況が出来上がるまで、葛藤をずっと続けてしまうのです。
3.本気で相手に直してほしいと思った時にできること
私自身が、昔、相手に約束を破ることを止めて欲しい、直してほしい、あなたのせいで私はとても悲しい想いをしているの!と思っていたことがありました。
約束を破る心理だろうが、約束を破られる心理だろうが、そんな理屈よりも、約束を破らないように、どうしたらなってくれるの!って気持ちの方が強かったんですよね。
そんな私は、習った心理学を駆使して相手をコントロールしてみようと色々試みましたが、全部失敗しました。それどころか、数か月音信不通、なんてことも多々ありました。
なので、直してほしい、と思って直る方法って、逆に言ったら、とても残念なお知らせかもしれませんが、無いんです。
ただ、約束を破られる苦しみから外に出る方法はあると思います。
それは、自分の価値をしっかり受け取ること。
考えてもみてください。
あなたと約束をしようと彼が頑張っている時点で、あなたは彼にとって特別な存在なんです。
約束を守れない人が、あなたと連絡を取ったり、何かしらの関係を持ち続けているだけでも、彼からしたら、あなたはとても素晴らしく、魅力的で、まぶしい存在なんです。
そうじゃないと、彼はあなたに最初から近づきもしないんですよ。
ちょっと形は違うのかもしれないけれど、彼があなたに一生懸命表現している
「あなたは素晴らしい」
「あなたは魅力的」
「あなたは僕にとってとてもまぶしい」
という想い、しっかり受け取ってみてください。
それがひとつひとつ、しっかりと受け取れた時、あなたにとって彼はあなたという存在を心底認めてくれている素晴らしい人になるはずです。
あんなに約束を破ってばかりの彼はきっと罪悪感でいっぱいのはず。こんな自分が許される、なんて感じられないし、あなたに釣り合う、とも感じられない。
でもきっと、あなたには、そんな彼の素晴らしさが見えているからこそ、彼を選び続けている。そんなあなただからこそ、彼を心から承認してあげることができるのです。
パートナーシップって、上下関係ではないんですよね。
お互いがお互いを認め、愛し愛される関係。
愛するだけ、愛されるだけ、って存在しないのですよ。
不思議ですよね。
愛することが、受け取ることになり、
愛されることが、与えることになる。
そんな愛の循環を作れる力が、あなたには備わっている、ってことですよ。
素敵なあなたが、もっともっと美しく輝きますように。
いつも応援しています。
ひとりで頑張らなくっても、苦しくなったらいつでも連絡してくださいね。
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