なぜ自分を後回しにしちゃうの？｜気づかないうちに消してきた“本音”の話

「別にいいよ」
「どっちでも大丈夫」
「あなたの好きなほうでいいよ」

気づけば、そんな言葉が口ぐせになっていませんか？

本当は、何かを我慢しているつもりもない。
相手に合わせている感覚すら、あまりない。
むしろ「気がきく自分」「空気が読める自分」だと思っている人も多いかもしれません。

でも、なぜか心の奥には、
言葉にできないモヤモヤや疲れが溜まっていく。
そしてある日、理由もはっきりしないまま、
イライラしたり、急に距離を取りたくなったりする。

そんな自分に戸惑って、
「私ってわがままなのかな」
「人間関係がうまくいかないのは、私の性格のせい？」
と、自分を責めていませんか？

自分を後回しにする人は、もともと「優しい人」

まず知っておいてほしいのは、
自分を後回しにしてしまう人は、もともととても優しいということです。

相手が何を望んでいそうか
どう言えば角が立たないか
今、どんな空気なのか

そういったことを、無意識に感じ取る力が高い。
だからこそ、人に合わせることが自然にできるのです。

問題は「優しさ」そのものではありません。
問題は、その優しさの裏で
自分の気持ちを感じないようにするクセが身についてしまっていること。

私たちは、どこで「自分を消す」ことを覚えたのか

このクセは、ある日突然できあがるものではありません。

多くの場合、

・本音を言ったら困った顔をされた
・気持ちを伝えたら、否定された
・わがままだと言われた
・場の空気を乱す存在になりたくなかった

そんな経験の積み重ねの中で、心が学習していきます。

「言わないほうが安全」
「感じないほうが楽」
「自分より相手を優先したほうがうまくいく」

そうやって少しずつ、
自分の気持ちを感じる回路をオフにすることを覚えていくのです。

だから「別にいい」は、
本音をごまかしている“嘘”ではありません。
その瞬間は、本当に「わからない」のです。

なぜ本音がわからなくなるのか

「何が食べたい？」と聞かれても
「うーん、なんでもいい」

「どうしたい？」と聞かれても
言葉が出てこない。

それは、気持ちがないからではありません。
感じる前に、無意識で打ち消してしまっているから。

「これを言ったらどう思われるかな」
「相手はどう感じるかな」

そのチェックが先に走り、
自分の感覚に意識が向かないまま、選択が終わってしまう。

こうして
本音はあるのに、アクセスできない状態が続いていきます。

モヤモヤや怒りは「わがまま」ではない

自分を後回しにする状態が続くと、
やがて心はサインを出し始めます。

・理由のないイライラ
・急に冷めたような感覚
・相手に察してほしくなる
・「私ばっかり」という思い

これは、わがままでも未熟でもありません。
今まで置き去りにしてきた自分の気持ちの声なのです。

まずは「小さな本音」に気づくことから

いきなり
「本音を言おう」
「自己主張しよう」
としなくて大丈夫です。

まずは、とても小さなところから。

・今、喉は渇いてる？
・何が飲みたい？
・疲れてる？
・本当は休みたい？

正解も、不正解もありません。
ただ、自分に問いかけてみるだけでいいのです。

答えが出なくても、それでいいのです。
「わからない」に気づくこと自体が、大切な一歩なのですから。

自分を大切にすることは、関係を壊すことじゃない

自分を大切にするというのは、
相手をないがしろにすることではありません。

自分の気持ちを知った上で、
どう関わるかを選べるようになること。

それは、
相手との関係を壊すどころか、
無理のない、続いていく関係をつくる力になります。

もしあなたが今、
「本音がわからない」
「いつも自分が後回し」
「気づくと疲れている」
そんな感覚を抱えているなら。

それは性格の問題ではありません。
あなたがこれまで、関係を守るために身につけてきた心の工夫なのです。

カウンセリングでは、
その工夫を責めることなく、
少しずつ、安心できる形に整えていきます。

「自分の気持ちがわからない」
そこから一緒に、ほどいていくことができます。

あなたがあなたを大切にすることを、
心から応援しています。