自分を大切にしてくれない人が見せてくれている世界

心理学を学び始めたり、カウンセリングを受けたりすると、よく耳にする言葉が出てきます。

罪悪感、とか、無価値感、とか、自己肯定感、自己価値、自分軸、とか。

皆さんも、何度か耳にされたことはあるのではないでしょうか？

耳にはするし、言葉は知っているけれど、自覚があるかどうかと言われると、実際よくわからないし、指摘されたところで、じゃあどうするのよ？なんて、私はよく思っていました。

私たちは誰しもが、「愛されたい」「大切にされたい」という気持ちを持っています。しかし、私たちは気づかぬうちに、自分に対しては案外酷い扱いをしていたりするんですね。

心理学には、こんな言葉があります。

「あなたが変われば、世界が変わる」

一体どういうことなのでしょう。

自分を大切にしてくれない人

私の話を少ししますと、私がここ、カウンセリングサービスに出逢ったきっかけは、以前の私のこじれた恋愛でした。当時どれほどこじれていたかというと、その人とは、付き合い始めて2年程経っていて、同棲していたんですね。でも、同棲する前には一度彼と別れていましたし、同棲してからも、また彼と別れたんですね。彼とくっついたり別れたり…一体何度繰り返したのか、正直わかりません。

最初に彼と別れた理由は、結婚したい私、それに対して、結婚する気のない彼。だったら別れましょう、と私の方から別れを告げました。でも、なぜかヨリが戻ってしまいました。それから、一緒に住んだり、また別れたり…。でも私たちの問題は、結婚するしない、という問題だけではなかったのです。

私は彼に、以前から別の女性の影がチラついていることを知っていたのです。

その頃、私は、彼に別の女性のことや浮気について、問い詰めたことはありませんでした。
1度だけ、伝えたことがあったのです。
まだ付き合い始めて3か月くらいの時です。
彼の部屋から、明らかに女性ものであろうシャンプーやトリートメントが出てきたことがありました。
でも彼は、その時否定しました。
「これは元カノのもので、もう必要ないから捨てるよ。」と言って、本当に捨てました。

でもあれから…
私の中では、何かがおかしい、という感覚が拭いきれませんでした。
でも、それを問い詰めたら絶対この関係は、彼に開き直られて破綻する、と思いました。
どうせ問い詰めるなら、彼が絶対立ち直れないくらいの衝撃を与えられなきゃ問い詰められない！と私は思っていました。

ただ、問い詰めず、平気でいられたか、と言われれば、全然平気なんかではいられないのです。

実際のところ、彼は、浮気をしていたんです。
見つからないつもりで隠してあったであろう写真を見つけ、彼の知らぬ間に破り捨てたこともありました。
見知らぬ歯ブラシが出てきて、投げ捨てたこともありました。
彼の携帯を彼に内緒で見たこともありました。
一度どころか、何度もそんなことがありました。

写真を破り捨てようが、歯ブラシを投げ捨てようが、何をしても、ハラワタが煮えくり返る思いでした。

全部突きつけて怒鳴り散らせば、どれほどスッキリするだろう、とも思いました。
彼の部屋のものを全部破壊してしまいたい気分でした。

別の女が彼の部屋に来ている時にでも、乗り込んでひっぱたいて追い出してやろうかとも考えました。

何を考えても、ハラワタが煮えくり返る気分でした。

でも私は、怒鳴り散らすことも、部屋を破壊することも、浮気現場に乗り込むこともしませんでした。

理由はただ一つ、どれをしたところで、彼の致命傷にはならない、と思ったからです。私は彼に致命的な制裁を加えたかったのです。

浮気をする彼が悪い！
彼さえフラフラしていなければ、私たちはもっと上手くいっているはずなのに！

そんな想いが私の中で強くありました。

彼に制裁を加えねば！
そんな風に思っていた私がいました。

心の中が殺気立っている私を彼は本能的に察知するのか、数か月、音信不通になったり、どちらかがもう終わりにしようと言って、別れている期間もありました。

彼が私から離れている間、私は彼から離れるために婚活もしました。
結婚相談所に高いお金を払って入会したこともありました。
出会い系アプリを使っていろんな人に出逢いました。
いいな、素敵だな、と思った人も何人かいました。
絶対浮気などしそうにない誠実そうな人もちゃんといました。

何回かデートして、相手の方が私を気に入ってくれても、上手くはいきませんでした。
私の中から彼の存在が消えなかったのです。
そんな状態で、彼と、くっついたり離れたりを5年近く繰り返していました。

彼が戻ってくると、
「ほ～ら、やっぱり戻ってきた！他の女じゃ手に負えないのよ、私じゃなきゃ！」
と思う私もいました。

自分を大切にしていなかったのは…！

こんな散々な話を、友達にしたことがありました。私はその話をした時、腹立たしさで怒りこそあったと思います。でもその友達は、私にこんな風に言いました。

「なんか、リナちゃんの話を聞いていると、悲しくなる。」

そんな風に言って、目に涙を溜めるのです。

私はその言葉を聞いて、そして、彼女のその表情を見て、とても嫌な気持ちになりました。なんだか、心の奥の方が、チクチクズキズキギューツと痛むのです。なんだか、私はまるで他人事のように、でも、とても私、とても自分に可哀想なことをしている、と感じたのです。

私はやっと、自分が自分自身をどう扱っているのか、気付いたのです。

私は、私自身を、まるで罪人や奴隷のように、それどころか、心も無ければ血も通っていない、ただのモノのように扱っていたのです。

なんで私が、彼の浮気を問い詰められなかったのか。

問い詰めてしまえば、きっと彼は私から離れていく。嫌われたくない、離れて欲しくない、って思っていました。

でもそれ以上に、自分が愛される、なんて、心のどこかで信じられなかったんです。

携帯なんて見たら、良いことないってどこかでちゃんとわかっているんです。それでも見てしまうのは、あ～あ、ほらやっぱり裏切られてる、私は愛されていない、っていう、自分の、愛されていない証拠を自ら進んで見つけに行くようなもの。相手を疑っていなければ、携帯なんて見ません。疑っているのは、相手ではなく、自分に愛される価値がある？いや、無いよね…と、自分自身を疑っていたのです。

私は愛されない存在です。

これが、私が私自身に下していた、私の存在価値、だったんです。
私は愛されない存在です、っていう評価を自分で自分にしていたのです。

もちろんそんなこと、当時の私は考えもしませんでしたし、自覚もありませんでした。そんなことを人に言われても、は？何言ってるの？って思っていました。

だって、悪いのは私じゃなくて、彼じゃない！って。悪いことをするのは全部彼で、私は彼に振り回されている、彼の被害者なの！って。全部彼のせいだって思っていたんです。

相手は自分の写し鏡

こんな言葉、聞いたことがありますか？

人との関係は、自分自身との関係が映し出されているに過ぎない。

投影、という心の法則です。

私が彼に裏切られていると感じるのだとしたら、私が、私自身を裏切っている、ということ。

私が彼に酷い扱いをされていると感じるのだとしたら、私が、私自身を酷く扱っている、ということ。

私が、彼に愛されていない、と感じるのだとしたら、私が、私自身を愛していない、ということ。

私なんて愛されるわけない、なんて私が自分で思っているということは、私は自分自身の味方ではなく、自分自身を裏切り、そんな自分にハラワタが煮えくり返るほど嫌な思いをさせ続け、自分で自分を大切にしよう、愛そうとしてこなかった、ということ。

この心の法則は、パートナーシップでも、友人関係でも、当てはまります。

あらゆる人間関係で嫌なことがあるのなら、自分が自分にしている扱いを変えましょう、ということなんです。

自分の自分に対する扱いを見直してみよう！

あらゆる人間関係で嫌なことがあるのなら、自分が自分にしている扱いを変えましょう。

これが私の中で腑に落ちるには、実のところ、結構な時間がかかりました。

そりゃそうなんですよ。だって、生まれてこの方、いつの間にか身についているパターンです。今まで自分がそんなに自分に酷い扱いをしていたなんて、気付きもしなかったんですよ。

だから、まずは気付くところからスタートする必要があるんです。

そして、自分が自分に酷い扱いをしていることに気づくと、何が起こると思います？

オセロの黒と白がひっくり返るような…そんな鮮やかな変化は残念ながら起こらないんですよ。

自分が自分を酷く扱っていると気づくと、まず凹みます。
そして、自分を責めます。
こんな自分、バカバカバカバカバカ！って、やるんですよ。

これもすでにパターンにハマっている証拠ですよね。酷い扱いを自分にしている自分を見つけて、そんな自分をまた酷く責める。泥沼化するんです。

「人との関係は、自分自身との関係が映し出されているに過ぎない。」この心の法則。

自分自身を酷く扱っている自分を見つけては、バカバカバカバカ、と責める自分。それほどまでに、自分を酷く責めているのだとしたら、人から酷く責められたとしても全然不思議じゃないですよね。

「人との関係は、自分自身との関係が映し出されている」この心の法則を知ってから、自分が自分に酷い扱いをしていることに、まずは気づこう、ということを私は始めました。

人に対して酷い態度を取っている時も同じです。人に対して自分がひどい態度を取っている時は、自分と自分自身との関係が映し出されているわけですから、人に暴言を吐いていれば、それは自分に向かって吐いているも同然です。

そう考えると、わかりやすいですよね。

イライラしている自分がいれば、イライラなんてしたくないのに、全然余裕無いんだな、私。
酷いことをされたと感じている相手に制裁を加えねば、と思っている自分がいれば、私は自分自身を罰しようとしている。
ハラワタ煮えくり返るような状況には、そんな苦しくて激しい憤りの中に自分自身を置いている。

明らかに自分に対して優しくないし、全然私自身を大切になんてしてない、ということに、まずは気付く。

そしてそこから、

自分を大切にする、と決めること。

もうワタシは、自分を酷く扱わない。自分を罰しない。自分をないがしろにしない。

私は、私を大切にする。

私は、私を好きになる。

私は、私を愛する。

自分を大切にする、というのは、自分を甘やかすことでも、エゴイストになることでもありません。
自分を大切にする、とは、自己犠牲をして他人の期待を満たそうとすることよりも、自分自身の幸福や充実感を大切にする、ということ。

それは、大切な人を愛し、大切な人に愛される、という本来の幸せなパートナーシップや人間関係にも繋がります。

自分を大切にする、と決めると、自然と行動が自分に優しくなってきます。そうすると、感情や欲求に敏感になるかもしれません。

自分自身の押さえていたニーズに気づきやすくなります。ニーディーな、見たくなかった自分に出逢うかもしれません。

出逢ったら、気づいてあげてください。ワタシ、こんなにワタシ自身を今まで我慢させていたんだな、って。

そんな自分自身の要求に耳を傾けてみてください。自分自身の心の叫びが聞こえます。

自分に我慢を課す毎日を送っていると、心の余裕って無くなります。我慢して自己犠牲しなきゃいけない環境って、それをしなければ自分は受け入れてもらえない、と思ったり、できない自分には価値がない、と感じたり、何か自分のマイナス要素を埋めることが目的となっていることが多いんです。

そうなると、そもそも自分自身が自分のマイナスばかり見ているので、他の人もやっぱり同じように私のことをマイナスだって見てるよね？って思ってしまうんですね。

人間誰しもがプラスもマイナスも持っていると思うのですね。なので、自分のプラスの方をもっと見て、自分自身でそのプラスを認めてあげる、っていうことがとても大切なのですね。

頑張っている自分に、よく頑張ってる！って声をかけたり
出来ている自分に、よく出来てる！って自分で自分の頭を撫でてみたり

そんな癖を自分につけていくこと、とってもオススメです。

自分でマイナスだと感じる部分も、そんな私も私だよね、と受け入れていく。

自分で自分のマイナスを受け入れることができると、人のマイナスも受け入れやすくなります。すると、相手を大切にしやすくなるんですよね。相手を大切にすると、相手も自分を大切にしてくれるし、逆に大切にしてくれない人を選ばなくなってきます。

私も以前は全然できていませんでした。

だから、イライラしていることが本当に多かったし、気持ちも不安定で、とても感情の起伏が激しかったです。感情の爆発なんてしょっちゅうでした。

でも最近、私をよく知る友達は、私が昔とは比べ物にならないくらい、とても穏やかになったと言います。そんな友達との関係も以前より深まりました。

そしてもう一つ、大きな変化は、浮気をしていた彼とのくっついたり離れたりが終わり、今は一緒にいませんが、彼に制裁を加えたい想いは、全くなくなりました。それどころか、出逢ったことに、そして彼なりに精一杯私を愛してくれたことに、ありがとう、という気持ちで満たされています。

私は私を大切にする！

まずはこれを、心の中で唱えてみてください。
何度も何度も、唱えてみてくださいね。

あなたが自分で決めたことは、大丈夫、きっと叶います。

自分に優しく、そしてどんな自分も認め愛し始めると、相手との関係にも変化が出ます。
あなたが自分を大切にすることで、周りの人たちもあなたを大切にし始めます。

「人との関係は、自分自身との関係が映し出されている。」からです。

あなたの大切な人との関係が
そして、あなた自身との関係が
愛に満ちた関係でありますように。

あなたの幸せを願っています。