「NOが言えない、断れない。」それはあなたの心のSOSかもしれません

「断るのが苦手なんです」

カウンセリングの場で、そう口にする方は少なくありません。
頼まれると断れない。イヤでも笑って受け入れてしまう。自分を後回しにしてしまう。

誰かに「NO」を言うことが、まるで相手を傷つける“悪いこと”のように感じられてしまう。
だから、断る代わりに自分が我慢する。無理してでも引き受ける。疲れていても笑顔で頑張る。

その姿は一見、優しさや気配りに見えるかもしれません。でも、心の奥を覗いてみると
そこには「自分を後回しにする癖」が、長年根を張っていたりします。

NOが言えない人が背負ってきたもの

NOが言えない人には、いくつか共通する特徴があります。

たとえば…

 　人に嫌われるのが怖い
 　相手の気分を害したくない
 　自分の希望より相手の気持ちを優先してしまう
 　頼まれると「自分がやらなきゃ」と思ってしまう

こうした傾向の背景には、親との関係性が影響していることもあります。

たとえば、子どもの頃、親に「いい子」であることを求められてきた人。
自分の気持ちよりも、親の気持ちや期待を優先してきた人。
わがままを言うと怒られたり、無視されたり、がっかりされた経験があると、
「断る＝愛されないこと」「自己主張＝悪いこと」という信念が心に根付いてしまうのです。

だから、NOを言うたびに胸がチクチクと痛む。
「こんなこと言っていいのかな…」
「相手が可哀想かも…」
と罪悪感を抱いてしまう。

それほどまでに、あなたの心は、長い間「人の期待に応えること」を優先してきたのかもしれません。

NOが言えない人は、YESも言えていない

NOが言えないというのは、実はYESをはっきり言うのも難しい、ということでもあります。
なぜなら、「本当は何がしたいのか」「どうしたいのか」といった“自分の気持ち”がわからなくなっているから。

 　何を食べたいか聞かれても「なんでもいいよ」と言ってしまう
 　本当は嫌なのに「うん、いいよ」と笑ってしまう
 　自分の好きなことがわからない、自分の望みをうまく言葉にできない

これは、自己主張ができないというより、「自分の心とつながることが難しくなっている」状態です。

長年「人に合わせること」で自分を守ってきた人にとって、自分の気持ちに素直になることは、とても勇気がいることなんです。

NOを言えないあなたに届けたい言葉

NOが言えないままでいると、次第に心が疲弊していきます。
頑張りすぎて燃え尽きてしまったり、「どうして私ばっかり…」と感じて人間関係が苦しくなったりします。

そんな時、自分を責めないであげてほしいのです。

あなたは、優しさから断れなかったのではなく、
「嫌われないように」「見捨てられないように」と、必死に自分を守ってきたのです。

それは、あなたなりの大切な“生き抜くための知恵”だったのですよね。

それだけあなたは今まで必死に生きてきたんです。
大げさに聞こえるかもしれないけれど、これはあなたにとって決して大げさなことなんかじゃないんです。

とても頑張ってきたんですよ、あなたは。

でもね、今のあなたには、もう少し別のやり方があってもいい、そんな時なのではないでしょうか。
少しずつでいいから、自分の心に耳を傾ける時間を持ってみませんか？

「イヤだな」って感じた気持ちを、なかったことにしなくていいんです。
「私は、こう思ってる」と自分に言ってあげることからでいいんです。

NOを言えるようになることは、
わがままになることではありません。

それは、「自分の心も、大切な人の心と同じくらい大切にする」
という選択なのです。

まずは、小さな「NO」から

いきなり大きなNOを言うのは怖くて当たり前。
だからまずは、日常の中で小さなNOを練習してみましょう。

 　今日は疲れてるから誘いを断ってみる
 　「やってあげたいけど、今日は無理なんだ」と素直に伝えてみる
 　「嫌だな」と思った自分の気持ちを、ただ認めてみる

少しずつ、自分の気持ちを尊重してあげると、心が少しずつ軽くなっていきます。
それと同時に、YESもだんだん「自分の本心からのYES」になっていきます。

あなたが、自分をすり減らすのではなく、
「自分を大切にする選択」をできるようになりますように。

あなたの人生は、あなたのものです。
人に合わせて疲弊するためのものじゃありません。

あなたがあなたの楽しみや喜びを感じて
あなたがあなたの幸せを築くためのもの。

そのことを、どうか忘れないでいてくださいね。

あなたに届けたいメッセージ