夫を好きになれない　～「いい人」と結婚した心の葛藤～

「夫を好きになれないんです」
「優しいし、真面目だし、家事も手伝ってくれる。良い人なんです。でも、どうしても好きになれないんです。触れられるのもイヤで…」

結婚前は、「この人は誠実そうだし、真面目で優しいし、家庭を持つには理想的な人だな」と思った。 好きかどうかよりも、「結婚するならこういう人がいい」と思えた。

家族を持ちたかった。 子どもも欲しかった。 だからこそ、条件的に“ちゃんとした人”を選んだ。

だけど── いざ一緒に生活を始めてみると、心がついてこない。

「好きになれない」
「触れられたくない」
「なぜか一緒にいるのがしんどい」

こんなはずじゃなかったのに。

でも、相手に非があるわけではない。 彼は今も変わらず誠実で、優しい。 なのに、私はこの人を愛していない。

そんな感覚を持ったまま、罪悪感と共に日々を過ごしている女性は、決して少なくありません。

「夫を好きになれない」本当の理由

これは、単なる相性や恋愛感情の問題ではなく、もっと深い“心の構造”が関係していることが多いのです。

1. 自分の「感情」に蓋をして生きてきた

いい子だった。
空気を読んできた。
人の期待に応えてきた。

そんなあなたは、「自分の気持ち」よりも「正しさ」や「人からどう見えるか」を優先してきたかもしれません。

だから、結婚相手を選ぶときも、 「好き」より「安心できる」「ちゃんとしている」 という“思考の選択”になったのかもしれません。

でも、感情は嘘をつけなくて
心が動かない（動きにくい）相手だと、夫に対する愛情が育ちにくいんですよね。

だからこそ、相手が誠実で優しい人だと、自分が彼を愛していない罪悪感を感じてしまうんですよね。

2. 本音でつながれていない

夫はいい人。
でも、「本音を話せる相手か？」と聞かれると、言葉に詰まる。

・我慢してしまう
・わかってもらえない気がする
・感情を出すのが怖い

そうやって、本音でぶつかることがないまま月日が流れると、心の距離はどんどん広がっていきます。

本音を出せない相手を、心から好きになることは難しいですよね。

3. 自己肯定感の低さと罪悪感

彼が自分を大切にしてくれるほど、胸が苦しくなる。

「こんな私を、どうして？」
「申し訳ない」
「私は愛せていないのに」

愛されることが“重荷”に感じるのは、 自分の価値を受け取れていないから。

本当は、誰よりも人に愛されたかった。
求められたかった。
大切にされたかった。

けれど、自分を大切に思う感覚が育たないまま大人になってしまうと、 「愛されたい」という願望がどんどん膨らむ一方で、 いざ本当に大切にされると、それを受け取る“器”が自分には無いと思って、苦しくなるのです。

愛されることが怖い、
責められているように感じる、
申し訳なさに押し潰されそうになる

でもそんな感覚は、あなたが冷たい人間だからでも、愛のない人間だからでもありません。

それほどまでに、自分をちっぽけに感じながら生きてきた証なのです。

4. 親との関係が影響していることも

たとえば母親との過剰なつながりや、父親との距離があった場合、異性との距離感や愛し方に“ぎこちなさ”が残ることがあります。

・男性と深く関わるのが怖い
・距離が近づくと逃げたくなる
・弱さを見せることに強い抵抗がある

これは、自分でも気づかない「心の防衛反応」かもしれません。

「好きになれない私」はダメじゃない

あなたは今、罪悪感を感じているかもしれません。
「夫はいい人なのに、私はダメな妻だ」と。

でも、あなたが夫を好きになれないのは、

◎愛し方を知らなかっただけ
◎本音を感じる力を抑えて生きてきたから
◎“正しさ”で生きるクセがついてしまったから

どれも、あなたのせいではありません。

最後に：人生は、ここからやり直せる

好きになれないからといって、すぐに答えを出す必要はありません。

離婚する・しない。
やり直す・やり直さない。

どちらを選んでもいいのです。 大事なのは、 「自分の心の声に正直になること」

あなたがこれまで、どれほど自分を押し殺してきたか。
どれほど“ちゃんと”しようと頑張ってきたか。

その健気さに、まず気づいてあげてください。

そこからしか、本当の人生は始まらないのだから。

いつもあなたを応援しています。

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