心に触れる時間　

先日、懐かしい映画を観ました。
「ジョーブラックによろしく」1998年のブラッド・ピット主演の映画です。

昔、ブラッド・ピットが好きだった時代がありました。
この映画が出た約25年程前にも観たことがあった映画です。
全部ストーリーを覚えていたわけじゃないけれど、ブラッド・ピット演じる青年と、クレア・フォーラニ演じる女性が偶然出会って、お互いに何か惹かれ合うような、でも言葉はすごく少なくて、時間がふわっと止まったような、冒頭でのカフェのシーンが印象的でした。

あのカフェのシーンをまた観た時に、不思議と涙が込み上げてきたんです。
シーン自体は、泣けるような内容の場面でも無いんですけどね。

何気ない出会いのシーン。

あのシーンを観て、当時の私と、今の私がどこかで重なって、時間がゆっくりと巻き戻ったような感覚を感じたのかな、って感じたんです。

あの何気ないカフェでの出会いのシーンって、心がふっと開いて、相手と通じ合ったような気がする。だけど、それはあまりにも儚くて、次の瞬間にはもうすれ違ってしまう…そんな刹那の奇跡みたいな印象を受けるシーンなんですよね。

それって、自分の中の「言葉じゃないところで、心がふれ合った」そんな記憶や、
「ほんの一瞬で、でも確かに何かを感じ取った」あたたかくてせつない想いが、
あのシーンと響き合った感覚だったのかも、って感じたんです。

私たちの持っている過去の記憶の中って、楽しいこともたくさんあるでしょうけれど、それだけじゃなく、
懐かしさ、やさしさ、切なさ、美しさ、そして、もう戻れない時間への想い…
いろんな感情が交じり合っているって思うんですよね。

言ってみればそれは、昔の宝箱、なのかもしれません。

心を癒すときって、もう一度あの頃の感情を感じ直す、ということをセラピーを使ってすることがよくあります。

上手くあの頃の感情をもう一度感じられることもあるでしょうけれど
感じたくない、って思うこともあったりします。
無理に感じなきゃいけないわけじゃないので、感じたくない、と思ったら、それはその時の感情として大切にできるといいと思うんです。

でも、感じたくない、手放したくない、という想いが強いと、なかなか前に進んでいるように感じなくて、自分自身がとてももどかしく感じることがあります。

そんな時、この「心の中にある昔の宝箱」の存在をちょっと感じてみて欲しいなって思うんです。

その中に、何が入っているかは、自分だけが知っていて、
何が入っていても、それは自分にとって大切にしてきたもので
何も悪いものではないんですよね。

私自身は、あの映画を観て、私の「心の中にある昔の宝箱」の中に、
何か、「青くて若い、まだ食べるには早すぎるマンゴーみたいな想い」を感じたんです。

とても幼くて
「もっとこうできたらよかった」とか
「当時の私は何もわかっていなかった」っていう、
悔しさや切なさみたいなものが垣間見えた感じがしたんです。

そんな想いを見つけたとて、私自身、どうしていいのかなんて正解はなくて
でも、そんなまだ「青かった想い」にかける言葉も見つからないって感じたんですよね。

「仕方ないよ、若かったもん」っていうのも違うし
「あの頃に戻れるものなら戻りたい」っていうのもなんか違う。

だから、ただただ
「青かったね。」
「若かったよね。」
「幼かった…」
そんなことくらいしか自分にかける言葉が見つからなかったけれど

それでも、今の私自身が、あの頃の私の想いに寄り添えた、
あの頃の私も、今の私に寄り添ってもらえた
そんな感覚が、不思議と自分の中で「納得感」を感じてスーッと心が落ち着いていくのを感じたのです。

心の傷とか痛みとか、そういったわかりやすいものではなくて
言葉にいい表しがたい、具体的な何かじゃなかったけれど
私たちの心って、毎日たくさんの感情を感じて
たくさん心に溜め込んでいるんですよね。

とても薄いレイヤーかもしれないけれど、
一層一層自分の心を感じていくって、
とてもステキな、自分自身にやさしい行為だなって思うんです。

良かったら、優しく心に触れる時間を取ってみてくださいね。